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サスペンション
ワイドトレッドにすると、より大きな遠心力に耐えれるようになるのは何故でしょう?
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【問】 ワイドトレッドでもナロートレッドでもタイヤの接地面積は変わらない筈です。
ワイドトレッドにすると、より大きな遠心力に耐えれるようになる(2006.04.01 ※注3)のは何故でしょ
う?
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【答】 同じ遠心力でも荷重移動量が減るからです。
前輪なら前輪、後輪なら後輪の位置でクルマを輪切りにして観察すると、重心点Aと片側タイヤの接
地面の中心B、その反対側タイヤの接地面の中心点Cで三角形が形成されていることが分ります。
トレッドを広げるとこの三角形の底辺の長さが長くなります。
旋回中に遠心力が重心点Aに作用すると、アウト側のタイヤの接地圧(以下「接地圧B」と仮称)が大
きくなり、イン側のタイヤの接地圧(以下「接地圧C」と仮称)が小さく成ります。
この接地圧変化を荷重移動と言いますが、三角形の底辺の長さが長い程、接地圧変化が起こり難く
なります。
つまり、ワイドトレットの方が荷重移動量が少ないのです。
さて、回転して路面に追従しているタイヤが生み出すグリップ力ですが、それはいわゆる「摩擦の法
則」( [ 摩擦力 ] = [ 摩擦係数 ] × [ 荷重 ] )に従いません。
グラフに描けば、比較的低い接地圧から鋭くグリップ力は立ち上がり、荷重が増大するにつれて、グ
リップ力も増大しますが、その比率は次第に緩やかになり、荷重が過大になればグリップ力はドロップ
アウトしてしまいます。
ここでは、仮に「比較的低い接地圧からグリップ力が鋭く立ち上がる領域」を「軽荷重域」、 「荷重が
増大するにつれて、グリップ力も増大するが、その比率は次第に緩やかになる領域」を「中荷重域」、
「荷重が過大になり過ぎて、グリップ力がドロップアウトしてしまう領域」を「重荷重域」と呼ぶ事にしまし
ょう(注意 : ここでだけの呼び名です)。
旋回中に遠心力が重心点Aに作用して、アウト側のタイヤの接地圧が大きくなり、イン側のタイヤの
接地圧が小さく成っても、接地圧Bと接地圧Cの両方が「中荷重域」に有ればトレッドの差に因る影響
は少ないでしょう。
しかし、遠心力の影響による荷重移動の結果、接地圧Bが「重荷重域」になったり、接地圧Cが「軽荷
重域」になったり(またはその両方)したらどうなるでしょうか?
タイヤの接地圧が、グリップ力の弱い荷重領域に入ると左右輪のグリップ力合計が著しく低下してし
まいます。
荷重移動量が少なければ、重心点Cに同じ遠心力が作用してもワイドトレッドの方が荷重移動量が
少なく、タイヤの接地圧がグリップ力の弱い荷重領域に入り難くなるのです。
ですから、ワイドトレッドの方が左右輪のグリップ力合計の低下が起こり難く、「遠心力に対して踏ん
張る」と言われるのですね。
ただし、だからといって、「ワイドトレッドにしさえすれば高性能化」という訳でありません。
というのも、一般ユーザーや町のチューニングショップレベルで出来るワイドトレッド化の手段は碌な
物ではないからです。
一般ユーザーや町のチューニングショップレベルで出来るワイドトレッド化の手段は、ロングハブボル
ト+スペーサーや、ボルト組込済みスペーサー、マイナスオフセットホイールなど、サスペンションの設
計を変更しない方法になってしまいます。
これらの方法の場合、メリットよりもデメリットの方が大きいのです。
★まず、スクラブ半径(※注1)が変わります。
スクラブ半径が大きくなると路面からの入力に対してハンドルを取られ易くなって危険です。
★また、アームブッシュへ入る力のレバー比が変わるので、コンプライアンスステア(※注2)が変わり
ます。
コンプライアンスステアが変わるとクルマの挙動特性が変わりますので、予期しない動きをする恐れ
があり危険です。
★ハブベアリングへ入る力のレバー比が変わるので、ハブベアリングの負担が増えます。
ハブベアリングの負担が増えると寿命が短くなって、ベアリングが破損したり焼き付いたりすることが
あり危険です。
★マイナスオフセットのホイールではそれほど危険ではないのですが、ロングハブボルト+スペーサー
や、ボルト組込済みスペーサーの場合、製品の材質や精度が問題になります。
低強度な材質で作られた製品の耐久性が低いのは勿論、精度が低い場合にも応力が集中する原因
になりますので、製品が破損する恐れがあり危険です。
★また、ボルト組込済みスペーサーは締め付けボルトの本数が2倍になる分、時効緩みの危険性も2
倍になります。
・・・などのデメリットが懸念されますので、安易な方法に拠るワイドトレッド化はお勧めしません。
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※注1 : スクラブ半径 = キングピンの延長線とタイヤ接地面中心との距離
※注2 : コンプライアンスステア = ブッシュが潰れる事に因って転舵方向へのアライメント変化が生じ
る事
※注3(2006.04.01追加) :表題に「なぜ『踏ん張る』ようになるのか?」と書いた所為で、(私の全く知らない間
に)某所の掲示板で低次元な論争が起こってしまいました(荒れたのは1年も前なんですけど → その掲示板は閉
鎖されました)。
「踏ん張る」という言葉は、ミスリードを招く恣意的な表現でした。
私は、「最大求心力が上がる」という意味で「踏ん張る」という言葉を使ったのですが、「サスペンション
が踏ん張る」と解釈した方がおられたようです。
受動的にしか稼動できないクルマのサスペンションが踏ん張ることは在り得ません。
そして、踏ん張ろうが踏ん張るまいがサスペンションの稼動と“本質的な(力学の単純作用としての)
荷重移動量”は、何の関係もありません。
判り易い例を挙げるなら、底に敷いたクッションが硬くても柔らかくても、重い冷蔵庫を倒すために必
要な「横から押す力」の大きさは変わらない…これが力学の事実です(正鵠を期すなら、「むしろクッションの柔
らかい方が、冷蔵庫が傾くことに因って重心が移動してしまうために、より小さい力で冷蔵庫を倒すことができます」と但し書き
した方が良いでしょう)。
誤解を招く表現を使ったことをお詫びするとともに、「より大きな遠心力に耐えれるようになる」とい
う言葉に訂正させていただきます。
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