
更新の際に構造を変える事があります。 構造を変えるとアドレスが一から再配分されますので
ブックマーク等でお気に入りのページに飛んだ際に、目的と違うページが表示されることがあります。
その場合は画面一番下の [ TOP ] からトップページへ移動して、トップページから
目的のページへ移動してください。 お手数ですがよろしくお願いいたします。
内燃工学
|
【問】シングルカムのエンジン特性とメリット・デメリット、ツインカムのエンジン特性・メリット・デメリットを
教えて頂けませんか?
□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□
【答】こーゆーのって検索エンジン使ったら「答え一発!」ちゃうんかいなと思ってGoogleで検索してみた
のですが・・・ありゃりゃ。 ほとんど何の資料にも中りませんね。 使えないなぁ、インターネットっ
て。
では、まぁ僭越ながら簡単に(※注)説明をば。
※注 : 全部説明するとチョー長いので、かなり端折りました。 詳しくは内燃工学関係の書物を御覧下さい。
シングルカムとツインカムの違いは、「バルブを駆動するカムシャフトが1本か2本かの違い」でしかあ
りません。 したがって、燃焼室形状や点火プラグ位置、バルブサイズやバルブリフト量、ポート形状
などエンジンの特性を決める構造が全く同一のエンジン同士であれば、カムシャフトが1本であれ2本で
あれ、殆ど差は生じません。 敢えて指摘するなら、「バルタイ調整の難易度」と、動弁系慣性重量の
差から生じる「超高回転域に於けるバルブ追従性の違い」位のものでしょう。
シングルカムとツインカムの違いは、カムシャフトの位置によってエンジンの設計が制限される点に
現われます。
シングルカムは1本のカムシャフトで吸気バルブと排気バルブの両方を駆動します。 したがって、
敢えて凝ったカラクリ仕掛けでカムシャフトの位置をずらさない限り、シリンダーの中央上方を跨ぐ格好
でカムシャフトが鎮座してしまいます。
こうなると、カムシャフトが邪魔になり、プラグ位置をシリンダー中心の鉛直上から横へ偏心しなくては
なりません。
点火プラグの位置がシリンダー中心の鉛直上から横へ偏心すると・・・
(1)スパークノックを起こし易くなる
スパークノックは、プラグから遠い位置に在る混合気が、燃焼ガスの膨張圧に圧されて自然着火する
ことに因って生じます。 したがってひとつの気筒に1個しか点火プラグを備えないのであれば、シリン
ダー中央の鉛直上に在るのがベストということになります。 点火プラグの位置がシリンダー中央の
鉛直上から偏心するということは、スパークノックが起こり易くなるため火花点火ガソリンエンジンには
好ましくないのです(余談ですが、ひとつの気筒に2個の点火プラグを備えるレシプロエンジンは、確実な着火が目的なの
ではなく、「点火プラグから遠い混合気」というノッキングの原因を無くすことが目的です)。
(2)4バルブ・5バルブといった多バルブ構造が採用し難くなる
[ 仕事 ] = [ 力 ] × [ 距離 ] 、すなわち [ 馬力 ] = [ トルク ] × [ 回転数 ] ですから、エンジンを
高出力化するための手段のひとつは熱効率を落とさずに高回転化することです。 ポート 〜 給気ポー
ト 〜 シリンダーという紆余曲折した経路を通る空気は、経路の様々な箇所で渦を作ります。 とりわ
け吸排気バルブの隙間を通る時に生じる乱流の影響は大きく、隙間を通る空気の速度に比例して充
填効率・掃気効率を低下させます。 これを避けるためにバルブリフト量を多くしたり、バルブの径を
大きくしたりするのですが、バルブの直径は、必然的にシリンダーの直径に制限されます。 そのた
め、バルブの数を増やし、バルブがリフトした時の隙間面積を広くし高回転で稼動できるようにするの
です。
ところが、円周上にバルブを並べた場合、大きく残る空間は円周の中心部です。
つまり、多バルブ化した場合、点火バルブを置くのに最も都合の良い場所は、シリンダー中央の鉛直
線上となり、其処に点火バルブを置けない(凝ったカラクリでカムシャフトの位置をずらさない限り置くことが出来ない)
シングルカムは多バルブ化が難しいのです。
(3)可変タイミング機構の採用が困難
粘性で質量を持つ空気は、バルブの開閉に対して速やかに移動することが出来ません。 そのた
め、バルブの開閉に因って生じる圧力変化に対して空気が加速し、移動するまでに時間を要します。
したがってバルブは、ピストンの上死点/下死点に対してずれたタイミングで開閉しなければなりませ
ん。 これがバルブタイミングであり、単純にエンジン回転数に比例するピストン速度に対し、最も効
率の良いバルブタイミングは各々の回転数で異なります。
旧来のエンジンは、クルマの使用目的に合わせてバルブタイミングを設定することしか出来ず、低回
転で力強いエンジンは高回転が回らず、高回転でパンチのあるエンジンは低回転でトルクが細くギクシ
ャクしました。
最近のクルマのエンジンは、吸気バルブのみ、或いは吸排気バルブを別個に制御することによって
低回転〜高回転まで最適なバルブタイミングで稼動することが可能になっています。 ところが、これ
が出来るのはツインカムだけです。 何故なら、シングルカムの場合、吸排気とも同じ方向へ進角/
遅角してしまうからです(※注)。
※注 : ホンダの3ステージV-TECは、シングルカムながら可変タイミング機構を備えていますが、これは他の可変バルブタイ
ミング機構と異なり、エンジン回転速度に応じて微調整するのではありません。 低回転用と高回転用のバルブタイミングと
バルブリフト量が異なるカムが用意されており、[ 低回転時 ] : ふたつの吸気バルブの内片方を停止させてスワール流を得、
低回転用のバルブタイミングで稼動 [ 中回転時 ] : ふたつの吸気バルブを低回転用のバルブタイミングで稼動 [ 高回転
時 ] : ふたつの吸気バルブを高回転用のバルブタイミングで稼動・・・となるワケです。
以上の解説から御理解いただける通り、ツインカムは高性能・高出力なエンジンを作るのに適してい
るといえるでしょう。
しかし、ツインカムだから高性能・高出力なのではありません。
机上の空論と呼ぶのも憚れるアフォな設計のツインカムエンジンもありますし、「ここまで凝るくらいな
らツインカムで設計した方が余程楽だったろうに」と唸らされる出色のシングルカムエンジンもありま
す。 要は設計次第なのですが、設計の自由度はツインカムの方が上だということも間違いありませ
ん。
まぁ、同じ年式の同じ排気量で比べるなら、ツインカムの方が高回転・高出力志向、シングルカムの
方が実用回転・省燃費志向だと捉えて概ね正鵠を射ているでしょう。 例外は多々ありますけどね。
|
|
|

|