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当ページの記述は、すべて [ 製品が無効であることの証明 ] ではありません。
当該商品のwebサイトや広告,パッケージに書かれた「何故●●の装着によってパワーアップするの
か?」という理論が科学的に間違っているという点をのみ問い質すものです。
したがって、製作者ですら説明できない不思議な現象によって、自動車メーカーの実験では全く現れ
なかった物凄い超絶効果が、実走行に於いて発生し得る可能性は、決してゼロではありません。
つまり、販売元のwebサイトや広告,パッケージに書かれている内容が非科学的であるという点のみ
を晒しているだけであって、(この文章は)商品そのものの有効性までをも否定しているわけではありま
せん。
想像も及ばない極めて特殊なシチュエーションで、販売元が監修・立ち会う実走行実験であれば、ノ
ーマルの何十パーセントもの燃費の伸びを計測したり、ハイチューン並みの高トルク・高馬力を計測し
たりすることは、決して奇跡でも何でもなく、十分に有り得るものとして本稿を綴っています。
その点をお含み頂いた上で、ご閲覧くださいますようお願い申し上げます。
【J▼●Sの原理】
ページを開くと、いきなりカッチョエエ図解が目に入って驚く。
正に「如何にも効果がありそうな図」なワケだが、果たしてそうか?
少し考えれば、この図が非常にオカシイということに気付くハズである。
この図に於けるJ▼●Sは、4つの区画に分類されている。
つまり、(1)低速排気ガス流進入部 → (2)排気ガス流の加速部分 → (3)高速負圧流発生部分
→ (4)排気管出口 だ。
たしかに、
┏━━━━━━━━\━━━━━━━━━━━┓
━━┛ → 高圧 \ 低圧 A ┗━━━
→ 高圧 \____
→ 高圧 B ⇒ ⇒ b ⇒ ⇒
→ 高圧 / ̄ ̄ ̄ ̄
━━┓ → 高圧 / 低圧 A ┏━━━
┗━━━━━━━━/━━━━━━━━━━━┛
であれば、漏斗状の経路“b”を通る流体の速度が上がるために、Aに於ける圧力はBよりも低くなり
ます。
これは、ベルヌーイの定理に逆らいません。
しかし、
件の図解に描かれているJV●Sの構造は、
┏━━━━━━━━\━━━━━━━━━━━┓
━━┛ → 高圧 →a→ A ┗━━━
→ 高圧 \____
→ 高圧 B → → b → →
→ 高圧 / ̄ ̄ ̄ ̄
━━┓ → 高圧 →a→ A ┏━━━
┗━━━━━━━━/━━━━━━━━━━━┛
です。
あたりまえのことですが、エンジンから送られてきた排気ガスは、漏斗状の経路“b”だけを通るわけで
はありません。 ただ単に穴が開けられただけの経路“a”も通って排気管出口へ向かうことができま
す。
この場合、経路“b”を通る排気ガスの流速が、経路“a”を通る排気ガスの流速よりも遥かに速くなけ
れば、地点Aに於ける圧力が下がることは有り得ません。
では、経路“b”を通る排気ガスの流速は、経路“a”を通る排気ガスの流速よりも遥かに速いのでしょ
うか?
速くすることは出来ます。
経路“a”の穴径を経路“b”の穴径よりも極端に大きくすれば良いのです。
注射器と同じ仕組みの水鉄砲へ、大きさの異なる二つの水穴を開けたと考えれば、思考実験が可能
でしょう。
大きい穴から噴出する水よりも、小さな穴から噴出する水の方が遠くまで飛ぶでしょう。
ですから、経路“a”の穴径を経路“b”の穴径よりも極端に大きくすれば、理論上、A地点の圧力が下
がります。
おお♪ これでJ▼●Sの理論が正しいと説明されてしまいました・・・って、果たしてそうかな?
たしかに、経路“a”の穴径を経路“b”の穴径よりも極端に大きくすれば、流速だけは、aよりもbの方が
速くなります。 ですから、理論上、A地点の圧力が下がります。
しかし、経路“a”の穴径を経路“b”の穴径よりも極端に大きくすれば、流量は、圧倒的に経
路“a”を通る方が多くなります。
そして、それゆえに、(当たり前の話ですが)経路“a”が無かった時に比べ、経路“b”を通る流量は劇
的に少なくなってしまうのです。
ということは、経路“b”を速い流体が通ることに因って生じるA地点の負圧は、極めて小さな力にしか
なりません。
小さな穴が一つだけ開けられた水鉄砲であれば、水は勢いよく遠くまで飛びます。
しかし、大きな穴と小さな穴が開けられた水鉄砲からは、圧力の掛かった水の大半が大きな穴から
流れ出てしまうため、小さい穴から放出される水に勢いがありません。 ちっとも遠くまで飛ばないの
です。
この現象をJ▼●Sの原理に当て嵌めると、たとえ経路“b”を通る排気ガスの流速が経路“a”の流速
よりも速くても、それによって生じるA地点の減圧が経路“a”を通る排気ガスを引っ張ることは不可能に
なります。
ここで再び水鉄砲へ話を戻します。 小さい穴と大きい穴が近ければ、小さい穴から排出された速
い水と、大きい穴から排出された遅い水の間に負圧が生じます。 この現象は、「蛇口から流れ落ち
る流水へ、スプーンの背を近付けた時」と同じ理屈(ベルヌーイの定理)に従って生じます。 では、果
たして水鉄砲から放出された水が描く軌跡は、曲がってしまうのでしょうか? まったく曲がらないワ
ケではないでしょう。 理論上曲がっているハズです。 しかし、実際に注射器型の水鉄砲を使って
実験してみれば分かる通り、少なくとも肉眼で目視可能な軌跡の変化は起こ
りません。 おそらく、計測機器を用いても測定誤差以上の軌跡の変化が測定されることはない
でしょう(空気抵抗を受けて放物線を描く水の軌跡は、あまりにも多くの不確定要素が絡む)。
つまり、たとえJ▼●Sの断面図に於けるA地点に負圧が生じるのだと仮定しても、その負圧に因って
経路“a”を流れる大量の排気ガスが強く加速されるという現象は起こり得ないのです。
もちろん、その理由は、延々と述べてきた通り、大量の流体を加速するには、相応に強い負圧が必
要であり、その負圧を生むのは、強烈な運動エネルギーを持った速い流体だからです。 そして、径
の異なる穴を通る流体において、太い穴を通る流れが、細い穴を通る流れに因って引き出され加速す
るということは有り得ません。
- - 追加 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
どうも文章だけの説明ではイマイチ伝わっていないような気がするので、ちょっち図解入ります。
↓ちょっと特殊な形状の水鉄砲を用意します。
↓ ピストンを抜いてホースを繋ぎ、水を流すと、水鉄砲の穴から水が勢い良く出ます。 ナゼ勢い良く
出るかというと、穴が小さくてナカナカ排出することが出来ないので、隔壁の左側に有る水の圧力(水
圧)が高まるからです。
↓穴を大きくしてみます。
↓水の飛び出す量は増えますが、勢いが衰えます。
ナゼ勢い良く出ないかというと、穴が多きくてスグに排出してしまうから、隔壁の左側に有る水の圧力
(水圧)がナカナカ高まらないからです。
↓そこで、今度は小さな穴と大きな穴の両方をあけます
↓J▼■Sの理屈では、小さな穴から勢い良く飛び出た水が大きな穴から出る水を牽引するので、こ
うなるというのです。
↓アタリマエですが、実際はこうなります。
大きな穴と小さな穴の両方から水が排出されますので、隔壁の左側に有る水の圧力(水圧)がナカナ
カ高まらないのですから、当然です。
「他に穴をあけても、小さな穴から勢い良く飛び出す」という前提条件が間違っているんですね。
で、良く考えれば、元々ただの筒である部分に変な壁を設けているので、抵抗になっているんです。
↓J▼■Sの機構が無ければ、こうなります。
この状態(隔壁のない状態)が、排水量の最も多い状態です。
これは、穴から飛び出るのが、水という液体ではなく、気体であった場合でも同じです。
水道のホースの代わりに、送風菅を繋いで気体を送り込みましょう。
↓穴が狭ければ、穴の手前(図で左側)にある気体は圧力が高まって、穴から気体が勢い良く噴き出
します。
↓穴が大きければ、穴の手前(図で左側)にある気体の圧力はあまり高まらないので、穴から出る気
体の勢いは弱くなります(穴を通る気体の量は増える)。
↓そこで、今度は小さな穴と大きな穴の両方をあけます。
↓J▼■Sの理屈では、小さな穴から勢い良く飛び出た気体が大きな穴から出る気体を牽引するの
で、こうなるというのです。
↓アタリマエですが、実際はこうなります。
大きな穴と小さな穴の両方から気体が排出されますので、隔壁の左側に有る気体の圧力がナカナカ
高まらないのですから、当然です。
「他に穴をあけても、小さな穴から勢い良く飛び出す」という前提条件が間違っているんですね。
で、良く考えれば、元々ただの筒である部分に変な壁を設けているので、抵抗になっているんです。
↓J▼■Sの機構が無ければ、こうなります。
この状態(隔壁のない状態)が、送風抵抗の最も少ない(=送風管内の圧力が低い)状態です。
結論:排気ガスの抵抗を減らしたいのであれば、変な壁を設けてはイケマセン。
- - 追加終了 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ここまでで、当該ページの冒頭にある図解とそれに付随する枠内の荒唐無稽な作動原理は論破でき
たことと存じます。
では続いて、図解の下に書かれた文章を読んでみましょう。
「J▼●S装置の作用は、第一にその基本となるそのエネルギーは排気ガスを排出するその押し出す
ピストンの上昇エネルギーです。
第二に燃焼空気の取り入れ口に接している自然大気圧エネルギーです。そしてJ▼●S装置による高
速流負圧発生機能であります。
これらの条件が揃ってJ▼●Sが作用して高速度の負圧吸引力によって、完璧なまでに排気残留ガス
を自然に排除する事が可能になります」
大気圧はエネルギーじゃありませんよ。
大気圧は、質量を持つ空気が地球の引力に因って地面に押し付けられ、その結果として真空比で1
気圧の圧力差を生じているだけです。 それは、空中に放たれたさまざまな質量物がニュートンの引
力法則に従って地面に向かって落下することと何ら変わりません。 落下する物体は位置エネルギー
を運動エネルギーに変換していますが、既に地面に着いている物は、穴を掘って蹴り落とさない限り位
置エネルギーを運動エネルギーに変換することができません。
「エンジンの作動の行程の中で、排気のピストン上死点では排気バルブは未だ完全には閉じない状
態で同時に吸入側のバルブも作動して吸入と排気の両側のバルブが同時に開いている瞬間がある。
〔オーバーラップ状態〕
其の瞬間には、エンジンの燃焼室内を通じて大気圧のプラスのエネルギーとJ▼●Sが発生させてい
る強力なマイナスのエネルギーである高速吸引力とが全て繋がった状態になります。
大気のプラスの押す力とJ▼●Sが発生させるマイナスの引く力の流体エネルギーの中間に在る燃焼
室にはJ▼●Sの高速吸引力にとって大気を燃焼室に強制導入します。」
内燃工学を普通に理解している人間には、到底理解不可能な電波文章です。
百億歩譲ってオーバーラップ時に排気バルブ側が負圧になっても、吸気工程が始まれば排気バルブ
は閉じます。 ですから、吸気工程が始まってしまえば、J▼●Sの高速吸引力(笑)は、燃焼室に何
も影響することができません。
「同時に燃焼室内の排気残留ガスは全てその高速吸引流力により強制的に排出されます。」
J▼●Sの出鱈目な作動原理がアリエナイ物理法則に因って実際に稼動可能なら、この効果は期待
できるでしょう。 稼 動 す る な ら・・・ね。
「この自然現象的なプラスとマイナスによる作業エネルギーは人間の呼吸でも同様として大気圧中に
空気を吐き出すエネルギーよりも大気圧を吸う吸引エネルギーの方が少なく容易である事からも理解
できます。」
同じ量の空気であれば、吸っても吐いてもその空気の運動量は同じです。 したがって、消費される
どちらのエネルギーも同じです。 吸う方が吐くよりも楽だと思うのは錯覚(気のせい)です。
「このように、排気側ではJ▼●Sの強力で高速な吸引力がエンジンを通じて強力な負圧力として空気
摂取口によって大気圧に接触する事でそのマイナス気圧方向にプラスの大気は一気に加速して燃焼
室内に突入して排気残留ガスを追い出し排除します。」
それはイイんだが、それだけでは掃気以上の効果はないヨ。
「この完全な残留ガスの排除は著しく燃焼効率を向上させ、出力やトルクの増幅は当然としてガソリ
ンエンジン等では排気ガスが人間の嗅覚では感知できない程の無臭排気ガスとなります。」
“燃焼効率”というコトバは耳慣れない貴兄も多いと思うが、ようするに“完全燃焼性”のことである。
そして、実は意外なことに、内燃エンジンに於いて完全燃焼性が上がると、排気ガスは臭くなるので
ある。
硫黄が十分に取り除かれた炭化水素燃料が燃焼して生成するのは、N2、NOx、CO2、O2、H2O、
H2、C(煤)、未燃焼HCなどであるが、この内、単体で強い刺激臭を有するのはNOxである。 そし
て、完全燃焼性が高い−−すなわち理論空燃比で稼動している−−のであれば、燃焼温度故に空気
中の窒素と酸素が化合してNOxが生成されてしまうのだ。
だから、触媒を装着しないガソリンエンジンの燃焼効率が上がれば、排気ガスは臭くなる。
「このような無臭排気ガス等の信じ難い現象は、如何に完全なまでの燃焼効果の実現している事の
証明とするものであります。現在に於いて世界を通じて見てもこのような高い燃焼効果を他には見る事
は出来ません。」
てゆーか、単に触媒が機能しているだけでしょ?
本当にJ▼●Sで排気ガスが浄化できるって言うなら、陸運局へ排気ガス浄化装置として申請してご
覧よ。 その結果、J▼●Sを着ければ三元触媒なしでも車検に通るように認可されたら、このホーム
ページに書いたJ▼●Sに関する全ての記事を消し、トップページにて土下座した写真付で謝罪させて
もらうよ。
絶対にありえないと思うけどね♪
「前にも申しましたが、“自然エネルギーを超す事は出来ない”J▼●Sの現象は自然環境エネルギー
を駆使するものあり、どのような優れたエンジンであってもそれにJ▼●Sを装着すると、そのレベルを
超してその差に追い付く事は出来ません。」
あまりにも初歩過ぎて突っ込む気力も萎えますが、“自然環境エネルギー”などというエネルギーは存
在しません。
「更に、夢のような理想的な話と成りますが、坂道や積載時等のエンジンに負担が掛かった時の負荷
の数値の程度に正確に反応して燃焼空気量を増量させてトルクを自動的に増量する。この現象をエン
ジン負荷対応型と言い、自然大気圧利用による脅威です。」
科学は夢物語ではありません。
エンジンに掛かる負荷が異なることに因って、同じ排気ガス量でもJ▼●Sの作動が異なる理由は何
なのか?
“エンジン負荷対応型”と名付けることや、「脅威」だと修辞してしまうことは説明ではない。
解らないなら「解らない」と素直に書けば良い。
「理屈も作動原理も解らないけれど、摩訶不思議な魔法の装置を偶然作り上げた。」と正直に書いた
方が、荒唐無稽で無茶苦茶な屁理屈を延々と綴るよりも、百万倍も説得力があります(笑)。
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