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ドライヴィング理論
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実際に頂戴したメールです。 本人様宛てには既にメールにて回答済みですが、ここには若干改稿して載せています。
【問】
ドリフトは速いと思うんですが・・・
タイヤは少し滑っている時が最大摩擦力を発揮しますよね?
だから多くのコーナーでは、4輪が滑りながらドリフトで走り抜けるのが、タイヤの性能を100%使い
切った一番速い走り方だと思うのですが・・・
自動車工学とか学校で習う物理、化学についてはさっぱりわからないので上のことが正しいのかわ
からないですが、実際、レーシングドライバーは箱、フォーミュラどちらでも車をスライドさせて走ってい
るそうです。ついでに、2輪も滑らせながら走っているそうです。
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【答】
いやまぁ確かに
> タイヤは少し滑っている時が最大摩擦力を発揮します
んですけど。
それ以前の問題で、実は移動しているクルマのタイヤは全て滑っているんです。 にわかに信じ難
いでしょうけど。
真っ直ぐに走っている時でさえ、タイヤ外径(※)×π×回転数≠移動距離です。
タイヤは常にスリップし、摩擦力を発揮しています。
非駆動輪でも、摺動抵抗によって車輪の慣性回転が阻まれる分、タイヤ外径(※)×π×回転数≒移
動距離になります。
※:モチロン、路面に接して平らになっている部分に対しての「真実半径」の2倍ですよ
ましてや旋回時に於いておや。
旋回時のタイヤについて理解して頂きたい点は、タイヤの向いている方向とクルマの進行方向は一
致しないということです。
そう言われれば、何やら思い当たる言葉があるのではありませんか?
そうです『横滑り角(スリップアングル)』です。
文字通り、『横滑り角(スリップアングル)』が存在する時(すなわち、どれほど遅くとも実際に旋回運動している時)、
クルマのタイヤは横方向に滑っているのです。
では、同じようにタイヤが滑っているのに『ドリフト』と『グリップ』という2種類の状態があるのは、何が
どう違うのでしょうか?
それはモチロン、滑っている量が違うのです。
タイヤの摩擦は、高校の物理Tで学ぶアモントン・クーロンの摩擦法則に従いません。 滑り速度に
よって摩擦係数が変わります。
これはタイヤの摩擦力が [ タイヤ表面の粘着摩擦 ] と [ 滑り摩擦 ] の和であるからです。
[ タイヤ表面の粘着摩擦 ] はタイヤの滑り量が増えるにつれて減少し、同時に [ 滑り摩擦 ] が増えま
す。
[ タイヤ表面の粘着摩擦 ] も [ 滑り摩擦 ] も非線形ですので、ある滑り率でピークに達します。
ピークに達すると点が存在するということは、それよりも「低い滑り率」も「多い滑り率」も摩擦係数が
ピークよりも小さいということです。
では、現実問題としてどれくらいの滑り率がピークなのでしょうか? タイヤによって異なりますが、
普通のラジアルタイヤの場合、10%程度の滑り率でピークに達します。
ということは、つまり。
もうお分かりですね。
[ 最速 ] = [ 最高の摩擦係数を発揮して旋回している状態 ] = [ 10%程度の滑り率で旋
回 ] = [ 傍から見て激しいドリフト状態だとは思えない ] = [ 普通は、それを『グリップ走行』と
云います ]
一方、 [ 傍から見て激しいドリフト状態 ] = [ 10%を遥かに超える滑り率で旋回 ] = [ 最高
の摩擦係数を発揮していない ] = [ 遅い ]
ということです。
> 実際、レーシングドライバーは箱、フォーミュラどちらでも車をスライドさせて走っている
だから
> ドリフトは速い
というのは、理論の飛躍以外の何者でもありません。
そう主張されるのであれば、“ドリフト”に関する全ての書籍とDVD・ビデオの類は回収されなくてはな
らないでしょう。
なにせ、一般に呼称される“ドリフト状態”とやらは、サイドブレーキを引いたり、シフトロックを掛けた
り、クラッチを蹴ったり、必要以上に大きく荷重移動させるなどしてヨー角速度を瞬間的に速くした結果
です。
それは、決して「リアタイヤの横滑り率が10%程度」ではありません。
繰り返し申し上げますが、時速0kmよりも速く走るクルマの全てのタイヤは滑っています。
したがって、「タイヤが滑っているならドリフト」と定義した場合に『グリップ走行』という状態は存在しな
くなります。
何を以って「ドリフト」と見做すかによって、話がコロッと変わってしまいますが、英単語のdriftの和訳
に従うなら、やはり「あたかも漂っているように不安定に流されているように見える状態」でしょう。
そして、そういう状態のリアタイヤの横滑り率は10%よりも遥かに大きいのです。
もし、「10%程度の滑り率で旋回している状態は、ある意味『ドリフト状態』であるから、最速のコーナ
リングは『ドリフト状態』である」とするなら、リアタイヤからモウモウと白煙を上げ、深い横滑り角で大き
なカウンターを当てた状態を別の名で呼ぶ必要があります。
なぜなら、それこそが曖昧さのない『ドリフト状態』であり、「最速のコーナリングは『ドリフト状態』であ
る」なら「リアタイヤからモウモウと白煙を上げ、深い横滑り角で大きなカウンターを当てた状態も最速」
になってしまうからです。
少なくとも一般にドリフトは、「リアタイヤからモウモウと白煙を上げ、深い横滑り角で大きなカウンター
を当てた状態」に限られる表現のハズです。
ドリフトが好きで好きでたまらない人たちにとって、「ドリフトが遅い」という現実は容認し難いという気
持ちは私にも理解できます。
しかし、だからといって傍から見て到底滑っているようには見えない「10%程度の横滑り率で旋回して
いる状態」をドリフトの範疇に入れてしまうというのはいささか無理があるように思えます。
そして、そう定義したからといって、「リアタイヤからモウモウと白煙を上げ、深い横滑り角で大きなカ
ウンターを当てた状態が遅い」という現実が覆るわけでもありません。
[ タイヤの横滑り率1桁% ] = [ グリップ ]
[ 10%前後 ] = [ グリップともドリフトともとれる状態 ]
[ それ以上 ] = [ ドリフト ]
って定義を定着させてくれるなら、貴方の意見でOKです。
でも、それは困難だと思いますよ。
土屋某やらD1ドライバーやらD1を辞めた達人やらが、ありとあらゆるメディア上で、繰り返し述べなけ
れば浸透しないでしょう。
現状の「ドリフトに対する一般的な認識」に従うのであれば、
[ タイヤの横滑り率十パーセント強程度 ] = [ (少なくとも見た目に)グリップ状態 ]
です。
どこまで角度が付けばドリフトと呼んでもらえるかは、観客の主観で変わると思われますけどね。
ちなみに余談ですが。
手持ちの資料、三栄書房刊【大車林】912ページの記述に拠れば、
「 ドリフト
drift
コーナーの入り口で意図的にテールスライドを起こし、カウンターステアを併用してスライド状態のま
まコーナーをまわるテクニック。近年ではタイヤ性能が向上したため、舗装路面上ではかえってタイム
ロスする傾向があり、あまり用いられなくなった。しかし、オフロード系の競技では今でも基本テクニック
である。 」
という定義になってます。
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