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トランスファー

 アクティブLSDとAYCは何が違う?
【問】 三菱のAYCの評価が高いのですが、一方で日産のアクティブLSDが話題に上る事がありませ ん。
 聞いた処、どちらも油圧で多板クラッチを作動させる構造らしいのですが、何が違うのでしょうか?
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【答】 普通の機械式LSDは、ピニオンギアの斥力で湿式多板クラッチを押し付けて差動を制限してい ますよね。
   

 それに対し、アクティブLSDはピニオンギアの斥力ではなく、電子制御にて湿式多板クラッチを油圧 で押し付けて差動を制限しています。
 ですから、差動が制限された方が好ましい状態になれば、ドライバーがアクセルコントロールしなくて も、自動的に差動が制限されます。
 これは、強力な駆動力で加速したいが、同時に強い差動制限が掛かると内輪が空回りして、駆動輪 が横滑りしてしまうような情況下で、差動制限を抑えつつ強力な駆動力を発揮したり、
逆に、滑り易い路面で、強力な駆動力を与えたくはないが、強い差動制限を掛けてトラクションを稼ぎ たい時などに有効なシステムです。
 しかし、強力な差動制限で内輪を空回りさせてテールスライドさせたい時などは、アクティブLSDはそ のような非合理的な差動制限をしないので困ってしまいます。
 そういう用途を考慮するなら、ドライバーが任意に差動制限を制御できる旧来の機械式LSDの方が 適しているでしょう。
 現在のように「速さを求めるならFFか4駆。  FRはケツ振ってナンボ」みたいな風潮だと、アクティブ LSDの評価は低くならざるを得ないでしょう。


 一方、AYCの方は発想が根本的に違います。
 AYCは差動を制限するのではなく、「内輪差分あえて差動させることに因ってクルマを曲げよう」とす る仕組みになっています。
 以下は三菱自動車が5型の契約者に配布したパンフレットからの無断転用ですが、


 図を見て分る通り、差動を制限する構造になっていません。
 油圧で押し付けられる多板クラッチが密着して、クラッチの滑り速度がゼロに近くなると、クルマの操 舵量に関係無く強制的に内輪差が与えられます。
 この時の後輪の状態は、丁度戦車が曲がっているのに似ています。
 前輪を持たない戦車は、左右のキャタピラの速度差で向きを変え、カーブを曲がるのです。
 AYCは、多板クラッチを押し付けて内輪差を強制的に作り出し、曲がっている状態を作ってしまう機 構なのです。

 また、AYCは強制的に曲がっている状態を作るだけに作用しません。
 旋回制動時にクルマが巻き込むような挙動を示した時、巻き込む回転方向とは逆の内輪差を与えて 挙動を安定させる事もできるのです。
 ですから、AYC付きのクルマを滑り易い路面で転舵したままゼロ発進させても、作り出されたヨーが テールスライドする程強くならないように電子制御します。
 当然クルマは転舵していても、すみやかにゼロ発進できる訳です。
(ゲームの【GT】シリーズのように、AYC付き車輌がゼロ発進でスピンモードに入るゲームは嘘ンコで す)。


 つまり、アクティブLSDが旧来の機械式LSDの電子制御化に過ぎないのに対し、AYCは旋回補助デ バイスなのです。
 ですから、必然的に評価も違う訳です。


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