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ブレーキ

インチアップするとブレーキローター周辺が広くなって放熱し易くなるので制動距離が短くなる。
【問】 インチアップするとブレーキローター周辺が広くなって放熱し易くなるので制動距離が短くなる。
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【答】 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました (aa略)。

 結論から言うと全くの逆。 インチアップすると制動距離は長くなります。

 これはまぁ、考えてみたらアタリマエの話で。タイヤ+ホイールの合計重量が同じであっても、インチ アップすれば質量が外径側に寄りますから、回転体の角運動エネルギーとして大きくなります( 直径の 半分あたりに在る質量体は、外周にある質量体よりも一周あたりの移動距離が半分になりますので、 運動エネルギーとしては外周に在る場合と比べて4分の1になります )。

 ましてや現実問題としてインチアップするとタイヤ+ホイールの合計重量はむちゃくちゃに重くなりま す。

 これは空気圧で内側から支えているゴム製のタイヤをアルミニウムという金属に替えて、しかも、ブレ ーキシステムを避けるという構造の制約のために大量の素材を使ってで簡単に破断してしまわないよ うに作らなければならないからです。

 インチアップで薄くなったタイヤも重くなっています。 インチアップして薄くなった分だけ材料の量が減 るので軽く成りそうに思われがちですが、ハイトの高い高扁平率なノーマルタイヤは空気の圧力でサイ ドウォールを張って形状を保っています。 しかし、インチアップされた低扁平率なタイヤは空気圧で張 らせて支えるにはサイドウォールの面積が余りに足りません。 だから、サイドウォールを糞ブ厚く作っ て構造で支えてクルマの重さで潰れない様にしています。

 最初に述べたマスが外に寄るということよりも、単純にインチアップするとタイヤ+ホイールの合計重 量がむちゃむちゃ重くなることの方が要因としては大きいと思います。

重 いから止まれなくなるんです。

 これは、DEXCEL社の公式webサイト ( https://www.dixcel.co.jp/pad/pad_x.html  ) から無断で拝 借した画像ですが、ちょっと恐怖する事実が載せられています。

 

 

 ブレーキをノーマルのままで、16インチサイズのノーマルタイヤから22インチにインチアップしたタイヤ +ホイールに履き替えただけで、時速60kmからの制動距離が1.48倍に。 時速80kmからの制動 距離が1.19倍になっています。

 しかも、さらに恐ろしいのは、DEXCEL社の製品の中で冷間時の摩擦係数が0.57 ( 温間0.6 8 ) というとんでもない摩擦係数を誇る ( 他社の製品は冷間0.35〜温間0.45で比較にならない )  [ X type ] という重量級乗用車専用の製品でさえも、交換後の制動距離が16インチのノーマル時まで 戻せていないということである。

 つまり、結論。 ショップのデモカーなんかが二百万円以上掛かるバカみたいにデカいブレーキシステ ムを奢って居るのは伊達でも酔狂でもなくて、そうしないと人を轢いちゃいかねないからなんですね。

 実は嫁車を新調しまして、売れ筋が18インチ仕様だったのが気に入らなくて ( こんなん買ったらタイ ヤが減って交換する際にアジアンタイヤを買い兼ねないという懸念 ) わざわざ低いグレードの16イン チ仕様にしたのですが、あの選択って大正解だったんです。

 ハンドルを握って運転してみたら、初期制動の立ち上がりの早さが400mmφのローターに対向6ポッ ドを奢った趣味車のブレーキにも引けを取らなくて驚いていたのですが、18インチ仕様用のブレーキシ ステムが16インチ仕様に流用されていたのが理由だったみたいです ( 初期制動の立ち上がりの早さ は良いのですが、実際の制動力はM2Cの足元にも及びません。 結局、冷間の摩擦係数が高い社外 のブレーキパッドに交換してしまいました )。

 というわけで、制動力重視の改造ならインチアップではなくてインチダウンを。 クルマを購入する際 にホイールサイズが選べるなら絶対にホイールのインチサイズが小さい方を選びましょう。

 制動距離:数メートルの差は [ 事故る / 事故らない ] の差じゃなくて、 [ 何も起こらない / 事故で他 人を殺す ] の差です。 インチアップして少々格好良くなったとしても、それでイザという時に殺人者に なったのでは失うモノの方が大き過ぎて釣り合いません。

 貴方は、事故リスクを上げてでも格好良い方を選びますか? …… 今回は、そういう真面目なお話 でした。


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