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ブレーキ

【問】 私のクルマは走行中にブレーキペダルを踏み締めるればちゃんとABSが作動する。 だ からタイヤをハイグリップな物に履き替えない限り公道の遵法走行に於いてブレーキ強化の必 要は無い。
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【答】 アフターマーケットで売られているブレーキパッドの商品説明の殆どが作動温度域0℃〜X00℃ 等と書かれているが、一部の製品を除いてブレーキローターの温度が外気温程度で十分な摩擦係数 が得られるブレーキパッドは余り多くはない。 殆どの製品は人が素手で触れない程度に熱せられるに 伴って摩擦係数が高くなって本領を発揮する。

 これは純正のブレーキパッドも例外ではなく、摩擦熱でブレーキローターが熱せられるに伴って摩擦 係数が高くなって本領を発揮する。 ガレージでエンジンを掛けてスタートして、最初に赤信号なり一時 停止なりで停止させられる場合、あえて意図して手前からブレーキペダルを踏むように心がけないと停 止線をオーバーランしてしまったり、既に停止している前走車両に追突してしまいかねない。 普通に 走っている時にブレーキペダルを踏んで十分な制動力が得られているのは、赤信号に従ってブレーキ を踏まされたり一時停止の標識に従ってブレーキを踏まされたりすることを繰り返すことによって、ブレ ーキローターの温度が外気温よりも何十度も高い温度を維持しているからに他ならない。

 だから、自動車専用道路や高速道路などで渋滞はおろか混雑しておらず、適切な車間距離を取って いてブレーキを踏む機会が全くない状態が続くとブレーキローターが冷え切ってしまう。 ディスクブレー キはその構造上、走行中はブレーキパッドとブレーキローターが軽く擦れ合っているが、ブレーキが掛 けられない状態が続けば、外気温よりも何十度も高い状態が維持され続けることはない。 なので、そ ういうシチュエーションに於いて急ブレーキを掛けなければならない事態に遭遇した場合、ドライバーが 期待する“いつもの”制動距離でクルマは止まってくれない。

 ではどうすれば良いのか。 ひとつの解決法は、自動車専用道路や高速道路などで渋滞はおろか混 雑していない状態であっても、時々ブレーキペダル踏んでブレーキローターの温度をあげてやること だ。 ただし、この場合、ブレーキを踏む必要性が全くないのにブレーキランプを点す頭のおかしいドラ イバーだと捉えられてしまう可能性が高い。

 もうひとつの解決法は、低温から高い摩擦係数を発揮するブレーキパッドに交換してしまうことだ。  令和五年の十月からステルスマーケティング行為が犯罪と見做されることが決まったので具体的な商 品名は書けませんが、各ブレーキパッドメーカーのwebサイトや掲示板に書き込まれた情報から判断 してください。 ブレーキパッドの交換だけでは物足りない場合は、スリット加工したブレーキローターに 交換すれば更なる制動力の嵩上げが期待できます。 父が私に遺した大衆セダン(AT)のブレーキ性 能は、それはもう悲惨な代物でしたが、前後のブレーキパットを低温から摩擦係数の高い物に交換し、 さらのブレーキローターもスリット加工済みの物に交換したところ、趣味車として所有しているBMWの M2C ( フロントブレーキローターφ400mm / フロント対向6ポットブレーキキャリパー // リアブレーキ ローターφ380mm / リア対向4ポットブレーキキャリパー ) と一発こっきりの減速Gならタメを張るくらい に、冷間から良く効くブレーキに仕上がりました。 非常に満足です  )

 ※ ただし、ブレーキパットは定価なら純正の五倍、スリット加工済みブレーキローターも定価なら純正の四倍しますし、ブレー キパッドの摩滅速度はスリット加工されていないブレーキローターが相手でも純正の二倍、スリット加工されているブレーキロー ターが相手なら純正の四倍、ブレーキローターの寿命も純正品の半分以下ですから、年間に何万キロも走るドライバーならば 金銭的な負担が大き過ぎると思います。 人身事故を起こす可能性が下がるならお金に糸目を付けない人間限定の仕様なの かも知れません。

 − − ダイジェスト版回答此処まで − − − − − − − − − − − − − − − − − − − −

 あれ? あんまりダイジェストになっていないような気がする。

 − − 回答本文此処から − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − −

【答】 まぁ、公道で遵法運転する前提でそれでもブレーキを強化しようってのは、クルマオタクのなかで も少数派だと思いますけど、ブレーキを強化する必要があるかないかで言えばありますよ。 三百数十 度で簡単にフェードしてしまうノーマルのブレーキパッドですが、実はアレ、ローターの温度が外気温程 度では摩擦係数が立ち上がりません。 三百数十度でフェードしてしまう癖に七十度前後、人間が素手 で触れない程度まで熱くならないと本領が発揮できないんです。 我が家は小さな丘の天辺に建ってい て、面している道路が下り坂なのですが、二百メートルばかり下ったトコロに一時停止があります。 一 応生活道路なので制限速度は30km/hなのですが見通しが良いので誰も守っちゃいません。 遅くても 40km/h、だいたいは50km/h、酷いのになると60km/hで抜け道として利用されています。 私の趣味車 は、BMWのM2Cなのですが、40km/hで走行して路面に書かれた [ 止まれ ] の三文字の内、前輪が [  れ ] の字を踏んでからブレーキペダルを踏んでも停止線で止まれますが、我が家にある他の二台の 国産車は違います。 今はもうお金を掛けてブレーキを弄ってしまったので余裕で止まれますが、弄る 前は、嫁に買ってあげた小型SUVは1メートル半、親父が遺した大衆セダンは2メートルも停止線をオ ーバーランしました。 冷間のノーマルブレーキというのはそこまで効きません。 だから、停止線の遥 か手前で左足でブレーキペダルを軽く踏んでおいてブレーキローターを暖めてあれば、40km/hで走行 して路面に書かれた [ 止まれ ] の三文字の内、前輪が [ れ ] の字を踏んでからブレーキペダルを踏 んでも停止線で止まれるようになります。 ブレーキローターが温間になってさえいれば国産車のノーマ ルブレーキでもちゃんと効くということです。

 殆どのドライバーが体験している 「 私のクルマは走行中にブレーキペダルを踏み締めるればちゃん とABSが作動する。」 というのは、一時停止や赤信号での停止によってブレーキローターがある程度暖 められているからこそブレーキシステムが本領を発揮できているからに過ぎません。 とはいえ、あくま で“ある程度”であってブレーキペダルを踏んだ瞬間にABSが作動することは稀で、普通は強いブレー キングでさらにローターの温度が上がってからABSが作動します。 タイヤひと転がり程度でしょうか。  とはいえ、ABS自体は作動します。 しかし、ブレーキローターが冷えていたらブレーキペダルを踏み締 めても何メートルも制動力が立ち上がらずABSは作動してくれません。 これが国産車のノーマルブレ ーキの現実です。

 自動車評論家が輸入車のブレーキをベタ褒めするのはこれが理由です。 輸入車のブレーキはロー ターの温度が外気温程度でもブレーキペダルを踏んだ直後から摩擦係数が立ち上がってブレーキが 効きます。 趣味車M2Cを法定点検でディーラーに預けた際の代車はBMWの116iでした。 正直、全 く期待していなかったのですが、タウンスピードでの加速は十分すぎる程でしたし、ブレーキ性能はタッ チも初期制動力もM2Cと比べて遜色ないレベルで 「 これが輸入車の魅力なのか 」 と痛感させられま した。 とはいえ、嫁に買い与えた国産小型SUVの二倍する価格ですから、おいそれと買えはしません が。

 こういう話をすると 「 街中を走っていたら一時停止や赤信号での停止でブレーキローターは温まって いるのだろ? じゃあ何も問題はないじゃないか 」 と言われるかも知れません。 でも、違います。 そ うじゃありません。 大阪の新御堂筋とか高速道路とか信号がない道路が渋滞していなければブレー キを踏む機会がまないまま長距離を走ることが出来てしまいます。 そうすると走行風がブレーキロー ターにあたって冷やされてしまいます。 走行中のブレーキパッドは、ブレーキローターと軽く擦れてい ますので、ブレーキローターは外気温と同じまでは下がりませんが、それでも相当に冷たくなってしまい ます。  そういう状況下で急制動しなければならない事態に陥ったら、ブレーキペダルを踏み締めて も、ブレーキローターが温まるまでタイヤがふた転がり以上回転して、ブレーキローターに熱が入るまで は十分な制動が期待できません。

 乗用車のタイヤの直径は六十数センチですから、タイヤのひと転がりはだいたい2メートル前後で す。 ふた転がり半ならほぼ5メートル。 もちろん、ふた転がり半した瞬間にブレーキローターの温度 が外気温から温間に跳ね上がるわけではなくて、ふた転がり半掛けて外気温度から上がって行くので すから、最初から温間だったブレーキローターと比べて伸びてしまう制動距離は5メートルの半分くらい になると思います。 「 なんだ大したことないじゃん 」 と考えるのは大きな間違いです。 急制動した前 走車両に対してたった1ミリでも手前で止まれば何も起こりません。 ですが、国産車のノーマルブレー キで冷間から急制動すれば、冷間でも温間と同様に効く輸入車に比べて2メートル以上のビハインドを 持ちます。 つまり輸入車ならギリギリ直前で停止して追突を免れるケースでもブレーキがノーマルの 国産車は結構な勢いで追突してしまいます。 関西の新御堂筋自動車道路なんか高い頻度で追突事 故が発生して、交通渋滞情報で何キロにも渡って真っ赤々に表示されてしまうことがあり、なんでこんな 見晴らしの良い直線道路で追突事故が頻発するのか長年の謎だったのですが、考えてみたら何という ことはない、ブレーキが冷えているからドライバーが想定する制動距離距離よりも実際に制動距離が 長くなって追突しているだけだったのです。 個人的に車間距離を十分に取らず、前のクルマが近付い てはブレーキランプを点して離れ、車間距離が開いたらまた詰めて走る連中を心の中で 「 下手糞だな ぁ 」 と見下していたのですが、制動距離のことを考慮すると車間距離は十分に取った上で、適度にブ レーキを踏んでブレーキローターの温度をある程度高く維持するように心がけるのは悪いことではなさ そうです ( 周囲のクルマのドライバーからは頭のおかしい変な奴と思われてしまうかも知れません が )。

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