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当ページの記述は、すべて [ 製品が無効であることの証明 ] ではありません。
当該商品のwebサイトや広告,パッケージに書かれた「何故●●の装着によってパワーアップするの
か?」という理論が科学的に間違っているという点をのみ問い質すものです。
したがって、製作者ですら説明できない不思議な現象によって、自動車メーカーの実験では全く現れ
なかった物凄い超絶効果が、実走行に於いて発生し得る可能性は、決してゼロではありません。
つまり、販売元のwebサイトや広告,パッケージに書かれている内容が非科学的であるという点のみ
を晒しているだけであって、(この文章は)商品そのものの有効性までをも否定しているわけではありま
せん。
想像も及ばない極めて特殊なシチュエーションで、販売元が監修・立ち会う実走行実験であれば、ノ
ーマルの何十パーセントもの燃費の伸びを計測したり、ハイチューン並みの高トルク・高馬力を計測し
たりすることは、決して奇跡でも何でもなく、十分に有り得るものとして本稿を綴っています。
その点をお含み頂いた上で、ご閲覧くださいますようお願い申し上げます。
【問】ベンチ●リープ0ートってどうよ?
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【答】さすがにこれはマズイと思います。
某頂点燃料の磁石もそうなのですが、こーゆーのって内燃工学を学んだ人間の発想じゃないでし
ょ?
単純に思いつきの領域を出ていませんよね。
お里が知れるというか、何というか、こーゆーパーツを発売した時点でチューニングショップとしてのレ
ベルが推し量られてしまいます。
この商品は、インテークマニホールド(以下インマニ)とエンジンヘッドの間に挟み込むパーツで、単純
に吸気経路の断面積を絞る物です。
吸気経路の断面積を絞ることによって何を目論んでいるのかというと、ベンチュリー効果によって吸
入空気の流速が上がることを狙っているのです。
では流入速度が上がればエンジンがパワーアップするのでしょうか?
答えはNOです。 パワーアップしません。
エンジンが要求する三要素は、良い混合気、良い圧縮、良い着火ですから、単行程あたりの吸入空
気量(酸素分子の数)が増えればパワーアップします。
そして、単位時間あたりにインマニ内を通過する空気の絶対圧体積が大きくなれば、吸入空気の流
速は速くなります。
したがって、吸気抵抗を軽減したり、過給したりして吸入空気量(酸素分子の数)を増やしたエンジン
を観察すれば、インマニ内を通過する吸入空気の流速が速くなっています。
しかし、インマニ内を通過する吸入空気の流速が速いから、空気の量が増えたワケではありません。
あくまで、単位時間あたりの吸入空気量が増えた結果として、インマニ内を通過する吸入空気の流速
が速くなるのです。
分かり易い喩えは、水道水の流れているホースでしょう。
ホース内を流れる水の量を増やせば、ホースの出口から噴き出す水の勢いは強くなります。
しかし、同じ水の量でも、ホースの出口を絞ってやれば、ホースの出口から噴き出す水の勢いを強く
することができます。
更に言えば、少ない水の量でも、ホースの出口を強く絞ってやれば、ホースの出口から噴き出す水の
勢いを強くすることができるのです。
ベンチ●リープ0ートは、喩え話で言うところの「ホースの出口を強く絞った状態」にしているだけで
す。
吸入空気の流速が速くなったとしても、それでインマニ内を通過する空気が増えるワケではありませ
ん。 むしろ吸入経路に障害物が出来たことに因って、吸入空気量(酸素分子の数)は減ってしまいま
す。
というわけで、少なくともモータースポーツの領域でパワーアップを期待する商品ではありません。
ところが、「ベンチ●リープ0ート」で検索したホームページを覗くと、結構な高評価が並んでいます。
彼らは、インテークバルブ近くで吸入経路を絞ると低速トルクが向上する現象を、パワーアップと錯覚
しているのです。
ポートの形状によって若干の違いがありますが、基本的にインテークバルブから吸い込まれた空気
は、燃焼室に対して縦方向の渦を巻きます(これを「タンブル流」と言います)。
高回転で稼動しているエンジンは、このタンブル流が速いピストンに粉砕され、燃焼室内に小さな乱
流を生じています。
これを「マイクロ・タービュランス」と言い、火炎の伝播を高速にする役割を果たしています。 だから、
ガソリンエンジンは高回転でノッキングが起こり難いのです。
一方、低回転で稼動しているエンジンの燃焼室内、ピストンスピードが遅いのでマイクロ・タービュラン
スが期待できません。
そのため、吸気ポートの形状を工夫したり、ピストントップの端がスキッシュ・エリアになるようにしたり
して作動ガスに乱れを発生させています。
インテークバルブ近くで吸入経路を絞ると、タンブル流が強くなり、低速域でも吸入空気の乱れを大き
くすることができます。
吸入空気の乱れが火炎の伝播を速くしますので、タンブル流を強くするということは耐ノック性を向上
させることに繋がります。
ですから、インテークバルブ近くで吸入経路を絞ると、耐ノック性が向上して低速トルクが太くなるので
す。
ホームページ上でベンチ●リープ0ートを称えている連中は、太くなった低速トルクに喜んでいるだけ
です。
高回転を常用するサーキットでタイムアタックをすれば、叩き出された記録に愕然とすることでしょう。
内燃工学が(というか古典物理学が)根本から覆されるのでない限り、ベンチ●リープ0ートがエンジ
ンを全域でパワーアップする道理は何処にもありません。
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