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実践ドライヴィング・テクニック
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【問】タイヤのグリップ力には限りがあるので、10の力でロック寸前のブレーキングをしている状態から
旋回するには、ブレーキを緩めながら操舵――たとえばブレーキを8にしたら旋回力を2に――して最
大のグリップ力を超えないように運転するのだと聞きました。
ところが、直線で単純制動した時のロック寸前が10だとしても、どのくらいに緩めれば8になるのか分
りません。 何かコツがあるのでしょうか?
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【答】コツという以前で、その説明は間違っていますから(笑)。
解説を単純化するために端折ったんだと思いますが、誤解を生む土壌は避けて欲しいと思います
ね。
で、コッチはちゃんと説明します。
中学校の算数なので追いてきてね。
グリップ力の限界を超えるとは、クルマの慣性重量にタイヤの摩擦抵抗が負けてしまう状態です。
クルマの慣性重量はベクトル値ですから、タイヤの摩擦抵抗もベクトル値です。
したがって、1Gで限界を超えてロックしてしまうタイヤであれば、そのタイヤの摩擦は360度全ての方
向へ最大で1Gに耐えるまで発揮することが出来るワケです。
この「360度全ての方向へ最大1Gに耐える摩擦力を発揮する」ということを、概念として図示したもの
が「摩擦円」です。
単位をGとする半径の円が摩擦円となり、縦軸(y)に制動力(負の数値は駆動力)を置き、横軸(x)に
遠心力を置くと、
[ 制動G(または駆動G)の2乗 ] + [ 遠心Gの2乗 ] = [ タイヤの摩擦が耐え得る最大Gの2乗 ]
という数式が成り立ちます。
例に挙げたタイヤのように最大のGが1なら、制動力に丸々1を費やしていれば旋回することはでき
ません。
ところが、制動力を0.8Gに弱めてやると、旋回に費やせる余裕が生じます。 でも、それは0.2では
ありません。
[ 制動G(または駆動G)の2乗 ] + [ 遠心Gの2乗 ] = [ タイヤの摩擦が耐え得る最大Gの2乗 ]
ですから、
[ タイヤの摩擦が耐え得る最大Gの2乗 ] - [ 制動G(または駆動G)の2乗 ] = [ 遠心Gの2乗 ]
です。 よって、
1×1−0.8×0.8=0.36
[ 遠心Gの2乗 ] が0.36なのですから、 [ 遠心G ] =√0.36=0.6
つまり、制動力に丸々1を費やしている状態から、制動力を0.8Gに弱めてやると、旋回に最大で0.6G
費やすことが出来るようになるワケです。
意外でしょ。
単純な足し算で制動力0.8Gと旋回G0.6を足すとタイヤのグリップ力を遥かに超えてしまうように思えて
しまうのですが、実際は二乗の足し算なので超えないワケです。
さて本題。
前述の通り、摩擦円の概念は「360度全ての方向へGに耐える摩擦力を発揮する」でした。
ということは、ストレートから入ってきて、直進状態でロック寸前のブレーキングをした時にドライバー
が感じた縦方向の減速Gを、その大きさのまま横へ向きを変えていけばイイんです。
これは拙稿【ドライとウエットは何が違うのか? (その弐)】で紹介したレーシングドライバー「ジャッキ
ー・スチュワート」がドライバーズスクール行った練習方法そのまんまです。
制動→旋回→加速という一連の動 きの中で、テニスボールがボウルの縁ギリギリに沿って周す、即
ち一定のGを保って制動→旋回→加速すれば摩擦円を最大限に活用することが出来るワケです。
ブレーキ踏量を何ミリ減らすか?ではなくて、真ん前に向いて掛かっている水平Gの大きさを変えない
ように、ブレーキ踏力を緩めつつステアリングを切り込んで行くのです。
何にせよ、体得するためには、「練習あるのみ」ですが。
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