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トランスファー

 『ターマックギア』はどの様な理屈で前後のトルク配分を変えているの?
【問】 三菱のランサーエボリュ―ションとスバルのインプレッサ用に、クスコ社製から『ターマックギア』 という商品が発売されています。
 これは前後のトルク配分を変える事に因って、舗装路での挙動をFR的にする物と聞きました。
 しかし、どの様な理屈で前後のトルク配分を変えているのでしょう?
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【答】 これはトルクコンバータ式オートマチックトランスミッションの複変速機の構造が理解できていな いと、言葉で説明されても訳が分らないと思います。
 下の無断転載図が、トルクコンバータ式オートマチックトランスミッションの複変速機の基本構造で す。
  

 トルクコンバータ式オートマチックトランスミッションの複変速機は、サンギア/プラネタリーピニオン /インターナルギアの3種類のギアに対し、サンギア/プラネタリーキャリア/インターナルギアのいず れかひとつを固定して、残りのふたつを、入力ギアと出力ギアに切り替えれる構造になっています。
 それに因って、入力ギアに対し出力ギアが増速したり減速したり逆転したりする事で、複変速機として 機能するのです。


 そして、以下↓の図がターマックギアの構造図です。
  ※注

 『ターマックギア』の場合、エンジンからの入力はセンターデフケースに付いたリングギア(トルコンAT の副変速機におけるインターナルギア)を回す格好になっています。
 直進状態で前輪後輪がガッチリと路面を掴んでいれば、サンギアもインナー・アウターピニオンも、リ ングギアと一緒に回転します。
 上図で、 直進状態で前輪後輪がガッチリと路面を掴んでいる時に、サンギア/インナー・アウターピ ニオン/リングギアが(図で)時計方向に回っていると仮定しましょう。
 サンギアの歯数はS。
 リングギアの歯数はTとします。
 しかし、もし何らかの理由でサンギアが停止した場合、アウターピニオンは時計方向に、インナーピニ オンは反時計方向に回って、キャリアを時計方向に回します。
 この時、リングギア1回転で、プラネタリーキャリアは( I +S )÷ I 回転します。

 一方、もし何らかの理由でキャリアが停止した場合も、アウターピニオンは時計方向に、インナーピニ オンは反時計方向に回って、サンギアを時計方向に回します。
 この時、リングギア1回転で、サンギアは I ÷ S 回転します。

 (例えばサンギアの歯数を50、リングギアの歯数を100とした場合、
サンギアが停止した時、リングギア1回転毎にキャリアは1.5回転し、。
キャリアが停止した時、リングギア1回転毎にサンギアは2回転する訳です)

 つまり、前輪が停止した時の後輪の速度と、後輪が停止した時の前輪の速度は違う訳です。
 この差は片方のタイヤが停止した時に突然発生する訳では無く、前後輪に速度差が生じた時点です でにトルク伝達比が変化しています。
 リングギアの回転数が同じで、それぞれ他方のギアが止まった時に回転数が高いと言う事は、ギア 比が高いという事を意味しています。
 ですから、サンギアが停止している時の、リングギアに対するキャリアのギア比は I ÷ ( I + S )。
 同様に、キャリアが停止している時の、リングギアに対するサンギアのギア比は S ÷I となります。
 よって、サンギアもキャリアも停止していない時の、リングギアに対するキャリアとサンギアへのトルク 伝達比率は
[サンギアへの伝達比] : [キャリアへの伝達比] = S ÷I : I ÷ ( I + S ) 
となります。
 よって、例えば、サンギアの歯数が100の時に、リングギアの歯数が258ですと、
  S ÷I ≒ 0.386
  I ÷ ( I + S ) ≒ 0.721
 ですから、
 0.386 : 0.721 ≒ 0.35 : 0.65
 なので、
 [サンギアへの伝達比] : [キャリアへの伝達比] = 35 : 65
 となり、サンギアからの出力を前輪に、キャリアからの出力を後輪に伝達すれば、前後輪へのトルク 配分が35:65の不等配分になり、駆動力に対してFR的なステア特性を得る事ができる訳です。
 (勿論、サンギアの歯数とリングギアの歯数を変更すれば、前後へのトルク配分は任意に変更可能 です)



※注:最初は、トルコンATの副変速機の図しか貼っておらず、ターマックギアの説明もトルコンATの副 変速機の図で説明していました。 
 しかし、本家のQ&Aでこのページをリンクしたところ、識者の”タマちゃんを握る会”様より、「でもインタ ーナル入力だとプラネタリーが止まるとサンは逆回転しませんか?」との鋭いご指摘を賜りました。
 言われてみればその通りで、今まで気付かなかった私は相当なマヌケだと思います。  慌てて資料 を漁り、不等トルク配分のセンターデフの図解を探し出し、差し替えさせて頂きました。
 不可解な説明で混乱させてしまったことを深くお詫び致します。


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