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サスペンション

【荷重移動】荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 004
 「ロワアームのアンチロール・ジオメトリ」
 さて、前のページの説明で平衡時に車両前方(もしくは車両後方)から見てロワアームが“ハ”の字に なっているクルマを例に挙げました。
 このクルマをもう少し観察すると、面白いことに気が付きます。

 

 求心力は、タイヤの接地面で発生します。  これを上図に置くと矢印A’およびA”と表せます。  荷 重移動して接地圧が偏っているので、外側タイヤの求心力A’方が内側タイヤの求心力A”よりも大きく なります。
 クルマ全体に掛かる求心力は、A’とA”の合力です。

 前置きはここまで。


 まずは、ロールに伴う荷重移動に因るサスペンションの稼動です。

 荷重移動に因ってサスペンションが稼動した場合、ロワアームはどういう動きをするのでしょうか?

 わかりやすくするため、ここでも前のページで使った大袈裟な図を流用します.

 旋回円外側、つまり荷重移動によってより大きい荷重を受けたサスペンションスプリングは縮みま す。

 

 旋回円内側、つまり荷重移動によって平衡状態よりも受ける荷重が小さくなったサスペンションスプリ ングは伸びます。

 

 さて、次に。

 平衡時に車両前方(もしくは車両後方)から見てロワアームが“ハ”の字になっているクルマにおい て、「慣性質量の車両に対して横方向に作用する成分」と「左右輪の求心力の合計」は、サスペンション に対してどう掛かるのでしょうか?

 わかりやすくするため、ここでも前のページで使った大袈裟な図を流用します。

 

 この作用は、反対側、つまり、旋回円内側のサスペンションに於いても同様に働きます。

 

 ・・・如何でしょう?
 1.荷重移動に因るサスペンションスプリングの伸び縮みは、平衡状態時のサスペンションロワアー ムの角度に関係なく、上図において緑色の矢印(時計方向)にロワアームを回転させようとする力とし て作用します。
 2.平衡状態の車両を前後方向から見て、サスペンションロワアームが「ハ」の字になっていれば、上 図において青い矢印の方向(反時計方向)にロワアームを回転させようとする力として作用します。
 ・・・ということは、

 1.の動きを2.の動きが相殺することになります。
 つまり、平衡状態の車両を前後方向から見て、サスペンションロワアームが「ハ」の字になっているセ ッティングは、ロール抑制として効く!のです。

 これを【ロワアームのアンチロールジオメトリ】と言います。

 ・・・では、もし平衡状態のサスペンションロワアームが「ハ」の字ではなく、「逆ハ」の字だったら・・・
 安易な素人サスチューンに在りがちな仕様だったら、どうでしょうか?

 

 ・・・如何でしょう?
 1.荷重移動に因るサスペンションスプリングの伸び縮みは、平衡状態時のサスペンションロワアー ムの角度に関係がありませんから、ロワアームの角度が「逆ハ」の字であっても、先程と同様に緑色の 矢印(時計方向)にロワアームを回転させようとする力として作用します。
 2.サスペンションロワアームが「逆ハ」の字になっていると、先程とは全く逆に緑色い矢印の方向(時 計方向)にロワアームを回転させようとする力として作用します。
 ・・・ということは、
 1.の動きを2.の動きが増長することになります。
 つまり、平衡状態の車両を前後方向から見て、サスペンションロワアームが「逆ハ」の字になっている セッティングは、ロールを増長させてしまう!のです。

 ここまでの説明で、自動車メーカーの設計を無視した車高短のデメリットの一つ「同じバネレートでロ ール量が増える」という理屈が御理解頂けたことと存じます。

 では、この理屈をピッチング方向の動きに応用してみましょう。
 (つーか、そのまま流用で)ロワアームのアンチダイブ&アンチスカット効果について考えることにしま す。


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