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サスペンション
【荷重移動】荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 008
バネレートの違いで荷重移動のスピードが変わる?
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なんだか、ドラゴンボールの某台詞みたいですが、この項、「もうちょびっとだけ続くんじゃ」です(笑)
【問】前後でバネレートに大きな差を付けた時に生じる挙動は、バネレートの高い方が低い方よりも早く
荷重移動するからです...って圭坊の説明と違う意見があったんですけど。
でもって、バネレートの高い方が先に踏ん張って荷重移動するから、外側のタイヤのグリップ力が早く
立ち上がるんだそうです。
だから、フロントがガチガチ&リアがフニャフニャなら操舵初期にオーバーステア傾向を示し、逆にフ
ロントがフニャフニャ&リアがガチガチなら操舵初期に強アンダーステア傾向を示すんだと。
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【答】はい?
何を以って「早い」「遅い」とするのか判りませんが、前後でホイールレートに大きな差があれば、左右
輪間の荷重移動量はレートの高い方に偏ります(※)から、レートの高い方が急激に荷重移動しますの
で「早い」と言えるかも知れません。
※:拙稿【リアサスペンションのスプリングを硬くするとアンダーステア?オーバーステア?】参照
しかし、フロント外側タイヤのグリップ力がリアよりも上がるとフロントがインを向くとか、あるいは逆に
リア外側タイヤのグリップ力がリアよりも上がるとフロントがインを向かないとかってのは、クルマの力
学を根本から捉え違えています。
1年以上前に挑発メールを下さった自称元自動車メーカー勤務・現チューニングショップ店長兼ジム
カーナチャンピオンのK氏もそうだったのですが、「クルマは外側タイヤで曲がっている」というイメージ
を抱いている人は少なくないようです。
サーキットONLY仕様で大きくキャンバーを寝かせ、サスペンションをガチガチに固めたクルマにおい
てはその傾向もありますが、基本的にロールに伴うアライメント変化が適正なら、「クルマは4つのタイ
ヤで曲がっている」んです。
拙稿【左右輪間で荷重移動しても両輪の生む摩擦力は同じでは?】をご参照頂きたいのですが、基
本的に左右輪間で荷重移動すれば、左右の合計グリップ力は小さくなります。 Sタイヤなどはこの
傾向が少ないのですが、基本的にゴム(正しくはコンパウンド)で地面に接しているタイヤは多かれ少な
かれこの性質を持ちます。
ですから、操舵初期もへったくれも関係なくて、フロントがガチガチ&リアがフニャフニャならアンダー
ステア傾向を示し、逆にフロントがフニャフニャ&リアがガチガチならオーバーステア傾向を示すのが
セオリーです。
もちろん、別ページ【荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 006 「リアだけが異常に柔らかいセッ
ティングに生じる現象」】で説明した通り機械式LSDを備えたFF車の旋回加速に於いてセオリー例外
になりますが、それはまた別の話です。
では何故こういう誤解が生じるのでしょうか?
それは、制動時のピッチングに伴うアライメント変化にヒントがあります。
アンチダイブ&アンチスカットジオメトリを考慮したフロントサスペンションが縮み側にストロークする
と、基本的にトーがアウト方向へ変化します。
サスセッティングとして静止時に前のめりな姿勢にしている場合は、当然のことながら、フロントの車
高ダウン後にアライメントを適正に調整することが前提になりますから、フロントタイヤはトーアウトでは
ありません。
しかし、フロントのバネレートがフニャフニャで制動時に大きくピッチングしている状態のフロントタイヤ
は、(静止状態で大きくトーインに調整されていない限り)トーアウトになってしまいます。
一部の高速コーナーやS字の奥のコーナーを除いて、基本的に旋回は、 [ 制動 ] → [ 旋回制動 ]
→ [ 旋回 ] の段階を踏みます。
したがって、フロントのバネレートがフニャフニャで制動時に大きくピッチングしている状態から、ブレ
ーキ踏力を弱めつつステアリングを切り込んでいくと、フロントタイヤがトーアウトの状態で操舵すること
になってしまいます。 また、ストラット式サスペンションに於いてはノーズダイブ時にネガティブキャ
ンバー化するために、フロントのバネレートがフニャフニャで制動時に大きくピッチングしていると、接地
面圧が大幅に偏ります。 タイヤの接地面圧が偏れば、当然、タイヤの摩擦力が低下します。
つまり、ストラット式サスペンションで、フロントのバネレートがフニャフニャだと、制動時にフロントタイ
ヤがトーアウトで、かつ、接地面圧が大幅に偏って摩擦力が低下してしまうのです。
だから、フロントタイヤのバネレートがフニャフニャだと旋回時の初期応答が鈍く感じられてしまうワケ
です。
■□2007.08.12 追補□■
【問】フロントがガチガチ&リアがフニャフニャの場合は、操舵初期にフロントタイヤだけが荷重移動を
し、リアタイヤが荷重移動していないからオーバーステア傾向を示すんでしょ?
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【答】いやいやいや。 何言ってんすか、アンタ(笑)
間違いがふたつ。
一つ目は、「操舵初期にフロントタイヤだけが荷重移動する」。
荷重移動は、マジックでも何でも無く、重心に働く慣性質量がタイヤの接地面に生じた抵抗に阻まれ
てることによって生じる「単純に幾何学的な現象」。
つまり、荷重移動は重心に働くベクトルの作用なので、常に4輪すべてに対して作用します。
よって、当然のことながら、フロントタイヤの左右輪間に荷重移動が生じたなら、まったく同時にリアタ
イヤの左右輪間にも荷重移動が生じまるのです。
ただ、前後のロール剛性に差があると、車両全体の左右間に生じた荷重移動量がロール剛性の高
い方に偏る・・・というだけの話。
前だけに生じて後ろに生じない瞬間なんて存在しません。
フロントタイヤだけに横滑り角(スリップアングル)が生じて、リアタイヤに横滑り角が生じていない瞬
間は存在しますが、左右のフロントタイヤに荷重移動が生じて、左右のリアタイヤに荷重移動が生じて
いない瞬間はアリエナイのです。
二つ目は、「フロントタイヤだけが荷重移動をし、リアタイヤが荷重移動していないからオーバーステ
ア傾向を示す」。
別ページでも触れたケド、荷重移動するとタイヤのトータルグリップ力は下がる。
したがって、もし「フロントタイヤだけが荷重移動をし、リアタイヤが荷重移動していない」なんて超常
現象が生じたら、フロント2輪の合計グリップ力が下がるので、「オーバーステア傾向示す」のではなく
「アンダーステア傾向を強める」が正解。
(何にせよ、「フロントタイヤだけが荷重移動をし、リアタイヤが荷重移動していない」なんて超常現象
は起こりえないんですケドネ)
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